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①会社設立に必要な書類と費用を教えてください

【ご質問】

現在、フリーランスの個人事業主として働いていますが、取引先も多くなり、所得が1,000万円を超えてきたのでそろそろ法人成を検討しています。

会社設立に必要な書類や最低限かかる費用を教えてください。

会社の設立にあたって必ず準備しておきたいものが、届出書類と費用の2つです。会社設立に必要な書類と費用は準備するのに時間がかかるため、あらかじめ必要な項目をチェックしておきましょう。

今回は、株式会社にするのか合同会社にするのかといった点も含め、

会社設立時に必要な11の書類と2つの費用を解説します。

早めの準備を心がけることにより、創業後の事業展開をスムーズに行いましょう。

会社設立時に必要な届出書類は11種類

会社を設立する際には、計11種類の書類を提出しなければなりません。

いざ会社を設立しようとしたときに準備していたのでは遅いため、できるだけ早めに用意しておくようにしましょう。手続きは2週間ほどで済むものの、書類の準備期間として2~3ヶ月ほど余裕を持っておくことをおすすめします。

ここでは、会社設立時に必要な11種類の書類をご紹介します。

その前に、会社の実印は各段階で必要になるため、事前に作成しておきましょう。

「会社実印」「銀行員」「角印」をセットで!

必要書類(1)登記申請書

「登記」とは、商号や所在地、代表者氏名など重要事項を法務局に登録する行為です。

そして、登記をする際に「登記申請書」の提出が求められます。登記申請書には商号や所在地など必要事項を記載し、法務局に提出します。

法人登記をすることによって、設立した会社の概要を一般に公表され、安心して取引が行えるようになります。

また、実務面においても、契約などで必要になる会社名義の印鑑証明書を交付してもらえ、法人登記後に取得できる登記事項証明書は、会社名義の銀行口座開設を始めとする、様々な手続きに活用できます。

■主な登記事項

1.商号(会社名)

→会社の形態を決めておきましょう。

株式会社or合同会社or合資会社or合名会社

一般的には株式会社か合同会社を選択します。

→商号については、以下の点に注意しましょう。

・同一の住所で同一の名称は使えない

・「株式会社」を名称にいれる(「Co.Ltd.」「K.K.」のような英語表記はできません。)

・公序良俗に反する名称は使えません

・使用できない文字があります(例えば「!」、「?」など)

2.本社住所

3.公告の方法

4.目的

5.発行可能株式総数

6.発行済株式の総数

7.資本金の額

8.株式の譲渡制限に関する規定

9.役員に関する事項……取締役の氏名、代表取締役の住所・氏名、監査役の氏名

10.取締役会の設置、監査役の設置

将来的にIPOを目指している会社や投資家を募りたいと考えている会社であれば、

資本政策として発行可能株式総数をいくつにするのか等、

最初から専門家の意見を取り入れると後々スムーズになります。

必要書類(2)登録免許税納付用台紙

登録免許税納付用台紙とは、登録免許税分の印紙を添付した用紙です。台紙はA4サイズであればコピー用紙でも構いません。郵便局もしくは法務局で収入印紙を購入し、台紙に貼り付けて提出しましょう。株式会社の登録免許税は最低15万円、合同会社は最低6万円となり、それ以上の金額になる場合は資本金の0.7%分の収入印紙が必要です。

必要書類(3)定款

定款とは、以下のような「絶対的記載事項」を含めた書類のことです。

  • 目的(どのような事業をおこなうのか)
  • 商号(会社の名前)
  • 本社所在地(市区町村まででOK)
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(会社の資本金)
  • 発起人の氏名又は名称(法人の場合)と住所(出資者の住所・氏名)
  • 発行可能株式総数

定款は、公証人役場に持ち込んで認証を受けます。公証人役場は、日本公証人連合会の「公証役場一覧ページ 」から、登記予定の地域を管轄する役場を検索できます。後は公証人役場と直接連絡を取り、認証を受けるスケジュールを決めておきましょう。

尚、事前にメールかFAXでチェックしてもらえます。

面倒な場合は、司法書士か行政書士に依頼してもOKです。

■定款の認証を受けるための書類・費用

定款……3通

発起人全員の印鑑証明書……各1通

収入印紙……4万円

認証費用……約5万2千円

発起人の実印

必要書類(4)発起人の決定書

発起人の決定書とは、発起人決定書は、会社の発起人が商号や目的、本店の場所などを詳細に決定したことを記載した議事録です。

定款で代表取締役を定めていない場合に必要となる書類です。また、本社所在地を記載していない、もしくは簡易的に記載している場合は、発起人の決定書を提出して所在地を定める必要があります。

必要書類(5)取締役の就任承諾書

取締役の就任承諾書とは、特定の人物が取締役に就任したことを証明する書類です。取締役の住所や氏名、就任日、会社名などの記載が必要です。

必要書類(6)代表取締役の就任承諾書

代表取締役の就任承諾書とは、特定の人物が代表取締役に就任したことを証明する書類です。取締役と代表取締役が別々に存在する場合、取締役の就任承諾書と代表取締役の就任承諾書の書類を提出しなければなりません。ただし、個人で会社を設立する場合など、社長が1人で取締役と代表取締役を兼務する場合は必要ありません。

必要書類(7)監査役の就任承諾書

監査役の就任承諾書とは、特定の人物が監査役に就任したことを証明する書類です。会社設立時に監査役を設置する場合のみ必要となります。

必要書類(8)取締役の印鑑証明書

会社設立時および定款の認証を受ける際には、取締役の印鑑証明書が必要です。会社を設立する際は、まず定款の認証を行うため、認証時に3~4枚の印鑑証明書を発行しておくと手間が省けます。取締役が複数いる場合、人数分の証明書を発行しておきましょう。

必要書類(9)資本金の払込を証明する書類

会社を設立するには、定款の認証が終わった後で資本金を支払います。資本金の払込を証明する書類とは、資本金の支払いを証明する書類です。

入金した後は、銀行通帳の表紙、表紙の次の裏表紙、出資金の入金が記載されたページをコピーし、これらをまとめた「払い込み証明書」を作成します。

払い込み証明書には、会社の実印を押します。

必要書類(10)印鑑届出書

印鑑届出書とは、法人実印の届け出をする際に必要となる書類です。商号や本社所在地、印鑑提出者の氏名などを記載し、担当の法務局に提出します。

必要書類(11)登記すべき事項を保存したCD-R

「登記すべき事項」をCD-R上に保存して法務局に提出します。CD-Rのほかにも、CD-ROMやDVD-R、DVD-ROM、書面で提出することも可能です。書類の作成方法については、法務省の「商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出について」から確認できます。

会社設立時に必要な費用は2種類

会社設立時に費用が必要となるシーンは、定款の認証を受ける際と登記申請を行うときです。株式会社や合同会社によって費用が異なるので注意してください。

それぞれの費用は下表の通りです。

 株式会社合同会社合資会社
定款認証収入印紙代40,000円*140,000円*1不要
認証手数料50,000円*250,000円*2不要
謄本手数料250円×枚数250円×枚数不要
登記申請登録免許税150,000円*360,000円*460,000円
登記簿謄本代600円×枚数600円×枚数600円×枚数
印鑑証明書代450円×枚数450円×枚数450円×枚数
合計金額241,300円151,300円61,050円

*1:電子定款の場合は不要

*2:2022年1月より、資本金が~100万円未満=3万円、100万円~300万円未満=4万円、300万円以上=5万円に改定されています。

*2:資本金の0.7%が15万円を超えるときは超えたほうの金額を適用

*3:資本金の0.7%が6万円を超えるときは超えたほうの金額を適用

まとめ

ここまで、会社設立時に必要な11種類の届出書類と2つの費用について解説しました。

会社設立後に提出が必要となる書類については、こちらの記事をご確認下さい。

「会社設立後に税務署への提出が求められる6種類の届出書類を解説」

特に、会社設立に必要な書類は膨大な量なので、できるだけ早めの準備を心がけておきましょう。今回ご紹介した、会社設立に必要な書類と費用に関する知識が頭に入っていれば、よりスムーズに準備を進めていけるはずです。


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